Not Short Short Stories

ショートショートからタイトルを拾いその場で短編小説風に書くフリースタイルブログ

ショートショートじゃない短編小説その6 叫びたくなる金欠

マソソソマソソソです。

今日はショートショートじゃない短編小説その6です。

 

タイトル:叫びたくなる金欠

 

いつまでもあると思うな親と金

こんな格言、よく耳にしてきた。
湯水のように出てくる金とはいったい、どのくらいの蓄えや収入で成り立つものか。
気がついたら月末に見る財布はいつの間にか痩せ細っていて、
気がついたら昼飯に買う品物の金額も控えめになり、
気がついたら週末の旅行は合計金額が0の一桁減る格安なプランになっていたり、
気がついたら駐車場は極力100円で始まる所を探したり、
節約なのか今月のサバイバルを楽しむような金銭感覚なのか、月末が近づくにつれてお金のカウントダウンの音が迫り立てて来る。この月のスパイラルに苛まれるのを回避する手段を求めたくなるが、そこは資本主義。資金が無い者に用は無いと一刀両断宜しく精神的なクリティカルヒットを受ける。

 

気がついたら消費者金融の目の前に虚ろな表情で棒立ちしていた。
トイチよりはマシだ、返済はできる、大丈夫、打診さえ通れば問題無い。
今日もお金様ありがとうございます。あなたに足向けて寝ることなんて到底不可能です。
クレジットカード様もありがとうございます。素晴らしき分割払い。財布の中身は最悪あなただけでも落ち着ける。
消費者金融での利息や支払い手続きの説明後、契約書、保証人、担保書類に署名捺印し、お店を出る。
気分は天使の羽が生え、ラッパを横向きで吹いてハレルヤーを連呼したくなる上機嫌。これで明日から俺は晴れて金に苦しまずに生活できる。少なくとも今日まではそう考えていた。

 

人間の欲は果てしない。


リア充宜しくの生活が始まった。真冬のハワイ旅行1ヶ月のバカンス、SNSをブラウズして予約でいっぱいの高級レストランで一番高いコースに舌鼓を打ち、車は都心の駐車場15分500円に3時間以上は余裕で止めて、財布から夥しい数の札束を取り出して精算する、等贅沢三昧の雨あられ
あぁ、気持ちいい。こんな生活もっと続いてくれ、と思った矢先に携帯に知らない番号から電話がかかってきた。
「マソソソマソソソさんですか?消費者金融[天国と地獄]の営業ニールなヤングと申します。お世話になります。今月のご利用額の上限額を超えられた、とオペレーターより連絡を受けました。いけませんねえ。契約書に書いていたじゃないですか!契約に違反する事案として、翌月はその利用額の2倍の金額とご利用月と当月の利息金額を申し受けます。連帯保証人の方は音信不通の為、確実にお支払い頂きます。お支払いできない場合は担保の徳川埋蔵金にて金額調整をさせて頂きます。ご了承の程、宜しくお願い致します。」

ニールなヤングだと?
無理無理無理無理無理無理無理!
返せない!
えー計算違い?それとも特殊詐欺事案?
念の為に利用した金額を精査してみた。
当月利用した金額:501万円
月の利用上限額:500万円
次回支払予定額:1085万円
もう、放屁が止まらない。世界が歪む感じとはこういうことか。
1万円で天国と地獄を同時に見る、消費者金融会社の名前通りとなった。

 

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面白そうなので、頭の体操がてらに、

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タイトルはランダムで選択して、即席で

ショートショートにならない短編小説を書いていこうかと思います。

 

ショートショートじゃない短編小説その5 おばあちゃんがカモになる惣菜パン

マソソソマソソソです。

暇人すぎて今日は引き続きショートショートじゃない短編小説その5です。

 

タイトル:おばあちゃんがカモになる惣菜パン

 

「あたしゃ入れ歯だからね、パンは噛み切れないし、飲み込めないんだよ。だからさ、あたしの顎にも優しいパンは売ってないもんかね?」

とある70代の女性、トヨさんは昔からのパン好きであるが、身体の衰えによるのか、食べられる物も限定的となり、ついには好きだったパンも柔らかい具の部分しか口に運ぶことができなくなっていた。
残りのパンはというと、いつも陽当たりの良い公園のベンチに腰掛ける時に寄ってくる鳩の餌か、家の食べ物で揚げ物を作る時に使うパン粉へと変わる。
フライが出てくる時は若干トヨさんテイストなフライになるのはこのことが原因のようである。
トヨさんの好きな惣菜パン、それはサラダパンである。一時期、マネーの虎に出場した参加者が
「パン、パン、パン、サラダパン!!」
とリズミカルに紹介した企画商品に虎達が訝しげに視線を送った、サラダパンである。
タマネギ、タマゴ、レタス、ニンジン、等食事でビタミンや食物繊維を摂取するならこれだ!となることから長年愛用しているサラダパン。しかし、どこのパン屋でサラダパンを探しても、トヨさんが咀嚼して、飲み込めるパンにならないことから悔しさが滲み出ていた。
「ババァに優しいサラダパンをおくれ!!」
トヨさんの棺に入れて欲しい商品No.1を勝ち得るサラダパンは未だに存在しない。

トヨさんは、ある日ふと気になる話を耳にする。それは介護施設に通うトヨさんの仲の良い友達タエさんから出た話である。
「あの施設のパンは良いわねえ。食べ易いし、味も濃すぎず薄すぎず丁度いい。パンが米を練って作られていて、サラダがピューレで出るからお代わりしたくなるわ。食べたら食べたで腹持ちもいいし。トヨさんも試食してみない?それとも今度持ってきましょうか?」
トヨさんからは一筋の涙がこぼれていた。トヨさんの念願の求めていたサラダパンに介護施設で出会えること、タエさんの優しさに感服した。
トヨさんは娘夫婦に相談して、タエさんからの紹介で介護施設に入れてもらえないかを聞いてみたが、娘夫婦は金銭上難しく、首を縦に振ることはなかった。かくして、トヨさんは介護施設の入所にあたる無料体験をいいことにタエさんとサラダパンでランチタイムを楽しむ趣味ができた。
「ババァの幸せはサラダパン。これに尽きる!」
トヨさんは右手の拳を握り締め、その拳を天高らかに突き上げたのであった。

 

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ショートショートじゃない短編小説その4 シフト制新年会

マソソソマソソソです。

今日は引き続きショートショートじゃない短編小説その4です。

 

タイトル:シフト制新年会

 

0時〜6時は5,000円。6時〜12時は6,000円。12時〜18時は7,000円。18時〜0時は8,000円。
ある会社での新年会の募集には上記のような時間帯別の金額が張り出されていた。なぜ時間帯別で金額が異なるのか。
会社での掲示では、時間帯と金額以外は特段記載されてはいなかった。しかし、シフトのある会社であれば、きっと働いた後の飲める場所や人数、コースや店内の雰囲気など様々に選択できる配慮としての設定なのかもしれない。
よくある新年会、とりわけ飲み会であれば、おおかた18時や19時頃から始めて、長ければ終電前まで参加するパターンは多いと思う。参加のし易さからすれば他の時間帯に比べて高額なのはまぁ仕方ない、と思うべきなのか。しかし、貧乏性の私には、その会費だけで、安いお店で3次会くらいまで行けるのでは?と勘繰ってしまう。
深夜終わりで合流する朝までの飲み会はハードな印象を個人的には感じた。
ただ、この会社はシフト制。深夜終わりのシフトであれば、朝まで飲む流れも考えられそうだ。飲みたい人だけ飲めばいいし、時間帯考慮で何も仕事終わりに飲むのは義務じゃないからシフト別の設定でもありはあり、という方針。

そうか、ただ皆で全員一緒に飲むタイミングだけは難しいが、飲むタイミングが合う人がいればいろんな情報も聞けるかもしれない。普段会いにくい人との交流もできなくはない。
ただ、シフト制新年会は新年会を開いた感じがするかは謎。でも、最近普通の飲み自体も断ってまっすぐ家に帰る人も出るくらい、会社の中の人間関係の希薄さを埋めるのにはいいのかもしれない。
ただ、それでも思う。微妙に高くないか?

 

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ショートショートじゃない短編小説その3 弁護する発熱

マソソソマソソソです。

今日はショートショートじゃない短編小説その3です。

 

タイトル:弁護する発熱

 

いつの時代もウイルスなど感染して、熱が出てくるといくつかの選択肢が頭に浮かんでくる。

例えば前の日の夜に発熱すると、明日の学校、会社までに治さないとなぁと寝る前までに重苦しくなる身体と向き合い、熱冷まシートをおでこに貼りながら、消化に良い軽い食べ物を食べて思いを巡らせる。

家族がいない一人暮らしの身だと休んでいられない気持ちにはなる。仕事を休む分、お金のことも考えなければならないし、仕事で他の人に迷惑をかけてしまってはまずい。そんな気持ちになるといつもよりは早めに寝て朝早めに検温計で体温が下がったかを確認する。

36.5度。良かったぁ。このくらい熱が下がればインフルエンザではないな。気持ち切り替えて家を出れる。何も支障なく、いつも通りの生活を送ることができる。

一方、38度前後を彷徨い、しかも家族と一緒に暮らす身となると、いよいよ自己弁護が始まる。あぁ、熱が下がらないままだときっと迷惑をかけてしまう。ふと起き上がってトイレに向かうも足元がふらふらとしてしまい、明日もこの調子ではきっと運転すらままならないし、何より思考能力の低下で判断が鈍り、トラブルを引き起こしやすくなることすら頭をよぎる。

極めつけは、家族から

「無理をしないで休んだ方がいい」

とアドバイスを受ける始末。そうは言っても、と反発的に考えてしまうが、逆効果なのか、考えれば考えるほど熱が上がり、より一層熱を下げるのが大変になる。一番の自己弁護に陥る発熱は知恵熱だったり、考えることで熱が上がることなのかもしれない。時には思考停止がちに無我夢中に楽しむ時を過ごすのも発熱しにくい対策なのかもしれない。

そうだ、今日も登校、出社して遊びまくろう。

 

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ショートショートじゃない短編小説その2 ピーチ姫を助ける古いパソコン

マソソソマソソソです。

今日はショートショートじゃない短編小説その2です。

 

タイトル:ピーチ姫を助ける古いパソコン

 

マリオはまだ4Kのテレビの中でもがいていた。

8Kのテレビも電気屋に並んでいるにもかかわらず、自身の戦場がまだ4Kのブラウン管で展開する、終わりのないパラレルワールドマリオブラザーズで、毎度おなじみ宿敵のクッパに立ち向かいにいくもどかしさに自問自答していた。

テレビが鮮明に映し出されてから、もはやカードリッジの頃のマリオは数あるゲームの忘れ去られた産物にすぎなかった。むしろ、8ビットのカクカクした、輪郭なんてあったもんじゃないクラシックなマリオが古き良き思い出となっていた。

だが、むしろマリオは自身が産み出されたオリジナルにこそ価値ある舞台があるのではないか、とすら疑問に思うようになっていた。windows10?いや、もっと昔。windows2000?それもまだ新しい。

思えば、マリオブラザーズが産声を上げたのは1983年。今から37年前。いよいよ経済的にも発展が見えて来る日本社会にマストな商品となっていたパソコンの普及の礎はwindows 1.0だった。

そうか、俺はもう赤いちゃんちゃんこを着るくらいの年齢に達していたのか。ピーチ姫をスパコンが弾き出す桁まで幾度も助けてきて早くも37年の月日が流れていた。2020年の節目、東京オリンピックが開催された後に落ち着く頃、俺はまたリバイバルで8ビットでピーチ姫を助ける、と心に誓い、4-3面をクリアして次のステージへ向かうのであった。

 

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ショートショートじゃない短編小説その1 自己紹介のおから

今日からブログをつけることになりました。

マソソソマソソソです。

https://masososomasososo.hatenablog.com/

↑検索しにくい場合はURLをコピペして貼って入って頂ければと思います。

 

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今日はその1回目。

以下、こんな感じです。

 

 

 

タイトル:自己紹介のおから

 

ぼくは、おから。名前はまだ無い。

レペゼン豆腐屋21歳。東京は下町浅草のてやんでえべらんめえの巣窟からぼくは産まれた。

母ちゃんは腐りかけの大豆、父ちゃんはマルエツの割引価格のついたおつとめ品の安い野菜。そのハイブリッドがぼくだ。

ぼくの終着点は、肉の脂を吸いまくる偏食好きのデブガキの口の中。

モヤシ、ニンジン、ヒジキ。ぼくの父ちゃんはなぜかめちゃくちゃ多い。大豆である母ちゃんは全てを包み込み、ぼくを形成するが、そのデブガキの口に運ばれる刹那、ぼくの生涯は終える。多夫一妻制という特殊な環境で揉まれたぼくは、

「えーおからなんか食べたくない、嫌だよ〜」

と泣き叫ぶデブガキの箸の上で遺言を考える。21年もの間、浅草から思えば遠くへ来たもんだ。

デブガキとデブガキの母親とのやり取りに正直溜息をつき続けること10分、嫌なら食べなきゃいいのに、最期がなんでこいつなんだよ、と思わず愚痴をこぼす。

箸からぼくの一部をこぼしながら、デブガキの唾液、鼻水、涙にまみれてぼくは新たな世界へ飛び込む。胃液だらけの世界でぼくは無になる。